日本音楽集団
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 2008.1.26.(土) 第190回定期演奏会 邦楽器アンサンブルの展望

邦楽器アンサンブルの展望

  「邦楽器のアンサンブル」という言葉は、殊に「個」を重んじる古典邦楽界では抵抗を感じられる方が多いのではないかと思います。「アンサンブル」という言葉は「ともに」とか「一緒に」という意味のフランス語からきており、音楽では主に少人数の合奏団などでまとまりの良い演奏を「アンサンブルの妙」などと称えたり、婦人服では「アンサンブル・コスチューム」という言葉もあります。「アンサンブルの妙」は、スポーツ、会話、交通、街の中、電車の中、家庭などあらゆる場で活かしたいものです。明るくて逞しい人間社会を作るためには、お互いに尊重し合うことと気配りが大切と思います。
 一般的な古典邦楽界では伝統・伝承を尊び、個人の奥義を伝えることに重きがおかれてきました。日本独自の音楽や楽器を作り出した先達の感性には敬服いたします。一方で外国文化との相互影響もあり、現代の日本人が求める「現代の日本音楽」の創造への欲望も当然と考えます。
 日本音楽集団は、作曲家や流派・ジャンルを超えて集まった邦楽演奏家らと創造活動を始めて43年。第1回定期演奏会で誕生した長沢勝俊作曲「子どものための組曲」などは、今や小学生らも演奏するスタンダードナンバーになりました。洋楽を学んだ作曲家が邦楽器のための作品を書くことは当たり前になり、外国の作曲家らも参加しています。この流れは発展こそあれ、止むことは考えられません。これは伝統が薄まることではなく、私たちが当初から目指した、まさに伝統の発展的継承であると考えます。
 今回のコンサートは、座談会をはさんだ3部構成としました。殊に4曲もの新作委嘱初演が並ぶ第三部は聴き応えがあると思います。
田村拓男 (日本音楽集団代表)

<第一部>
一、子供のための組曲
長沢勝俊作曲(1964年)

二、組曲人形風土記
長沢勝俊作曲(1966年)

三、ディヴェルティメント
佐藤敏直作曲(1969年)

四、邦楽器のためのコンポジション
秋岸寛久作曲(2004年)

<第二部> 座談会
・佐藤克明
・櫻井あゆみ
・田村拓男

<第三部>
五、委嘱初演作
川崎絵都夫作曲

六、委嘱初演作 恋−こひうた−歌 春の章
尾形敏幸作曲

七、委嘱初演作
秋岸寛久作曲

八、委嘱初演作
福嶋頼秀作曲

2008年1月26日[土]午後3:00開演(午後2:30開場)
  第一部/午後3時〜
  第二部/午後5時頃〜予定
  第三部/午後5時50分頃〜予定
会場:津田ホール (JR千駄ケ谷駅下車)
主催:特定非営利活動法人日本音楽集団                                                      
助成:平成19年度文化庁芸術創造活動重点支援事業                                   
入場料:全席指定 
     [前売] A5,000円 B4,000円 C3,000円
     [当日] A5,500円 B4,500円 C3,500円                   
チケット予約:
  日本音楽集団 TEL:03-3378-4741 FAX:03-3376-2033 E-mail:【お問い合わせ】
  電子チケットぴあ pia.jp/t 0570-02-9999
ヤングシート:25歳以下の方にB,C席を割安料金で。
前日午前中までに日本音楽集団事務所へご連絡ください。

第二部 座談会

佐藤 克明(さとう かつあき) 音楽評論家:
1934年3月東京生まれ。
1957年から音楽評論の筆をとるかたわら、音楽団体役員、音楽雑誌編集委員などを経て、1973年日本フィルハーモニー交響楽団の要請により、日本フィルハーモニー協会設立に関わり、80年までその事務局長、その後代表委員を務める。1985年社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)に
招かれて、文化政策研究委員、のち専門研究員として、国と自治体の文化政策の調査研究、伝統と現代にわたる舞台芸術芸能各分野の調査研究、振興策の企画提言、公立文化施設の調査や企画協力に携わる。
著書に『芸能学』『芸能浴宣言』『音楽市民まちをつくる』『オペラのあるまち』ほか、共著に『ザ・オーケストラ』ほか。音楽著作権、オーケストラ運営、聴衆論など論文多数。
オペラ台本『水の声』(日立市市制60週年記念委嘱作品、2000年初演)、『久保田城下町〜押し花の愛』(秋田市建都400年記念委嘱作品、2003年初演)。
現在、(社)全国公立文化施設協会(公文協)アドバイザー、日立市科学文化情報財団アドバイザー、全国オペラフォーラム総合コーディネーターなど。

櫻井 あゆみ(さくらい あゆみ) Meet The 和楽器 プロジェクトマネージャー:
1977年群馬県生まれ。昭和音楽大学音楽芸術運営学科卒業。卒業後クラシック音楽事務所にて、ファミリーコンサートや学校での鑑賞事業など年間約60公演を企画・制作。
その後04年6月、第一生命ホールを拠点に活動するアートNPO、トリトン・アーツ・ネットワーク(TAN)に入社し現在に至る。TANでは東京都中央区を中心に学校、病院、福祉施設などで生の音楽に触れてもらうアウトリーチや、平日の昼間にホールで気軽に音楽を楽しめる「クラシックはじめのいっぽ」公演、文化ボランティア(サポーター)事業などのコミュニティ活動に携わっている。
共著「TANアウトリーチ・ハンドブック」(パンセ・ア・ラ・ミュージック出版)。
http://www.triton-arts.net

田村 拓男(たむら たくお) 日本音楽集団代表 指揮者:
1935年2月、島根県生まれ。1964年日本音楽集団の創立に打楽器奏者として参加。
後に指揮者として活動。1992年より代表。

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